鳥さん天国 -Chronicles of bird paradise-

野鳥大好き人間が暮らしたインドとインドネシアで出会った鳥たちを紹介しています。

Indian Grey Hornbill インドコサイチョウ(インドの鳥その1)

これまでインドネシアの鳥を紹介してきましたが、今回からインドの鳥を紹介させていただきます。

インドは国土面積328万㎢、人口12億人。日本と比べると、面積で9倍、人口で10倍の、それはそれは大きな国です。

世界地図でインドを見ると、アジアの南の真ん中へんにぶら下がる三角形です。これをインド亜大陸と呼びます。その成り立ちは、1億5千万年前。今のアフリカ、オーストラリア、南アメリカ、南極大陸とともにくっついて形成されていた巨大な大陸ゴンドワナが分かれ、今のインドが北に向かって移動していきアジアとくっつきました。インド亜大陸とアジアの衝突によりヒマラヤ山脈が形成され、その影響は地球の気流の流れを変えてモンスーンを生み出しました。ヒマラヤ山脈の下では、今でもインド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートとぶつかって沈み込んでおり、地震を起こすとともにエベレストなどの山々を押し上げています。

北は北緯35度、南は南緯8度と南北にも大きく広がり、モンスーンによる激しい降雨、7000mを超す山や広大なデカン高原という平地があるインドの自然は、熱帯林、温帯林、高山帯、大草原、湿地、砂漠、といった実に様々な環境があって、まさに多様です。それゆえ、インド亜大陸には世界の鳥の7分の一にあたる1300種を超す種類の鳥が見られ、そのうちの1割以上が他では見られない固有種です。

さて、この多様なインドの鳥の紹介にあたって、最初にあげる鳥をどうしようかと考えたところ、出会って衝撃が大きかったという意味で、インドコサイチョウ Indian Grey Hornbill (Ocyceros birostris)を取り上げることにしました。

自分の頭の中では、サイチョウは、大木があり、木がよく茂った熱帯林の鳥だったので、インド北部の町に入った時にこの鳥を見て、一瞬サイチョウとは信じられませんでした。こんな街中にサイチョウがいるなんて!!ニューギニアでもインドネシアでも、サイチョウは深い森以外では見ませんでした。

インドコサイチョウは、大きな木のあるところではどこでも見られる感じです。大きな街路樹の多いインドでは、住宅地や道路端でも見られます。オスにはこのように嘴の上に先の突き出た突起(カスク)が見られます。怪鳥という風貌です。


全体が灰色、巨大な嘴と長い尾。
メスはカスクの先が突き出ていません。


若い鳥のカスクはあまり目立ちません。


木の実のなっている木に群がります。

こんなヘアスタイルの人もいるような。
カッカッカッとか、ピィピィピィとか大きなよく通る声を出します。
飛び方も独特で、首を伸ばし、パタパタと羽ばたいた後羽をすぼめてスーと滑空、またパタパタスーを繰り返します。

西部の乾燥地帯や北部の高地、北東部を除いてインドに広く分布しているインド固有種です。インドではサイチョウでもこんなに身近なんだと妙に感心しました。