インドでは、家畜の放牧が広く行われているため、その死骸を餌にするハゲワシ類が多く見られます。ハゲワシが死んだ動物を食べてくれるおかげで、自然環境が汚染されるのを防いでくれています。でも、ハゲワシ類は、家畜の病気予防のための薬剤により被害を受け、その数を減らしてきました。そのことについては、インドの鳥その34 ミミハゲワシでも書きました。
きょうご紹介する ベンガルハゲワシ White-rumped Vulture (Gyps bengalensis) もミミハゲワシと同様、餌とした牛の死骸に残留していた、家畜の関節炎防止のために獣医が処方したジクロフェナクの摂取により、数を減らしており、極めて絶滅の恐れのある種(IUCNのCR(Critically Endangered))とされてしまっています。
インド西部のグジャラト州にあるLittle Rann of Kutchを訪れた時、ベンガルハゲワシの生息地に立ち寄りました。
木の上に数羽のベンガルハゲワシが見られました。
やや小型のハゲワシで、体の上面が真っ黒、首も嘴も黒いです。
襟に白い羽毛が見えます。体の黒色との対比がはっきりしています。
飛翔中に下から見ると翼の裏側に大きな白い帯が目立ちます。
首からくちばしの先までつるんとした印象です。死肉を食べるために死骸の体内に首を突っ込むので、羽毛をなくして頭の汚れをできるだけ減らすようになったのでしょう。
ベンガルハゲワシは、インド亜大陸には広く分布しており、さらにミャンマーからインドシナまで分布しています。現在は家畜へのジクロフェナクの使用が禁止されているようですが、繁殖地となる森林の保護も含め、人間の生活がこうした動物たちに与える影響をよく認識して、野生動物と人間がいつまでも共存していける地球でありたいです。