今回紹介するのは、乾燥地帯で見られる鳥、イナバヒタキ Isabelline Wheatear (Oenanthe isabellina) です。
中央アジアからパキスタン北部で繁殖し、アフリカやインド北西部で越冬する渡り鳥で、インドには冬鳥として渡来します。
日本では、1905年から1910年の間に、鳥取市で春に1羽の雄がとられたとの記述が清棲幸保先生の日本鳥類大図鑑に記述されています。どうやらイナバヒタキの和名は、鳥取の「因幡」に由来するようです。なお、高野伸二さんの野鳥識別ハンドブック(1980年発行)には、「日本では1905年から1910年のいずれかの年の春に鳥取にて1羽採集された記録があるに過ぎない。」と書かれています。日本産鳥類目録第7版では、迷鳥とされており、本州での記録は、上記の鳥取市での記録の次に古いのが1997年とされています。
インド西部、パキスタンに隣接したラジャスタン州の砂漠地帯で出会ったのがこの個体です。
ヒタキ科サバクビタキ属で、全長は16.5センチ。同じ属の中では大きいほうです。
このように直立の姿勢がよくみられるのが特徴です。砂漠の鳥らしくクリーム色を主とした色をしていますね。嘴が長めです。
こちらは首都デリーの近郊で出会った個体。上の個体よりもはっきりとした色合いをしているのは成鳥だからでしょうか。なかなかかわいらしい顔をしています。