インドで鳥を見て、インドに来た甲斐があったと思ったのは、ハゲワシ類が身近に見られることがわかった時でした。
車通りの激しい道を牛が普通に歩いているようなところですし、私のいる北インドでは、ちょっと山のほうへ行けば牛やヤギが放し飼いになっていますから、ハゲワシにとって絶好の環境です。
写真には撮れていませんが、家の庭で昼寝をしていた時にふと上を見上げるとヒゲワシが飛んでいたのを見た時は感激しました。職場の上空でもヒマラヤハゲワシやシロエリハゲワシが飛ぶのを時々見られます。
ここらで見られるハゲワシはこれら3種です。ちょっと山のほうへ行けば巨大な体が悠々と飛んでいるのを見て楽しめます。
ここで紹介するのは、3種のうちで最も普通に見られるヒマラヤハゲワシ Himalayan Griffon (Gyps himalayensis)です。他の2種は残念ながら写真を撮れてません。
長い首を突っ込んで食べます。
牛の口蹄疫がはやり家畜に薬が投与されたころには、その影響でハゲワシの数が減少したそうです。
成鳥が近くの枝で休んでいます。牛の死骸をまず食べたのは成鳥で、その後で若鳥が餌にありつけてました。死体に群がってまず成鳥が食べることができるようです。子供に先に分け与えるという配慮はないようです。
山道を歩いていてたまたま近くの岩の上で休んでいたヒマラヤハゲワシに出会いました。
これがハゲワシの顔のアップです。鈍色に光る嘴の質感が素晴らしい。
インドではヒマラヤ山脈に沿ってきたの地域で繁殖し、冬はやや低いところに降りてきます。
アフガニスタンからチベットのほうにも分布します。
インドにはこうしたハゲワシが9種類見られます。ハゲワシが死肉を食べてくれるので環境がきれいに保たれ自然の循環が成り立っています。
ハゲワシという名前が付けられているのは鳥ではなく「ハゲタカファンド」とか呼ばれた人間の社会活動です。