鳥さん天国 -Chronicles of bird paradise-

野鳥大好き人間が暮らしたインドとインドネシアで出会った鳥たちを紹介しています。

Indian Pond Heron インドアカガシラサギ  (インドの鳥その101)

インドアカガシラサギ Indian Pond Heron (Ardeola grayii) は、留鳥としてインドに広く分布し、一部季節的に移動する個体群もあるようです。

インド南部カルタータカ州の道路わきの池で、ホテイアオイが群生する水面で獲物を探しているインドアカガシラサギがいました。季節は夏です。

繁殖羽の成鳥は頭から首、胸にかけて黄色っぽく、背が赤茶色です。この個体はまだ若いのか、色があまり派手ではありません。

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こちらはインド北部のウッタラカンド州で冬に見た非繁殖羽の個体です。上の写真の個体に比べて頭から胸まで縦縞が目立ちます。

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インドアカガシラサギはペルシャ湾周辺からインド、タイにかけて分布します。中国のアカガシラサギChinese Pond Heronの繁殖羽は頭がもっと赤みが強く、背の色はもっと黒みが強くなります。インドのアカガシラサギのほうが中国のよりも色合いがマイルドです。ただし、非繁殖羽では両種の識別は困難なのだそうです。

Wooly-necked Stork シロエリコウ (インドの鳥その100)

インドの鳥その100はコウノトリの仲間のシロエリコウです。

シロエリコウ Wooly-necked Stork (Ciconia episcopus)

インド北部ウッタラカンド州の貯水池周辺の森の木のてっぺんに休んでいるシロエリコウがいました。時期は9月です。シロエリコウはインドでは西部や東部を除き広く留鳥として見られます。

英名のとおり、白い綿のような羽毛が襟巻のように見える首が特徴です。ドクロのような顔も特徴的です。

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体は黒っぽく、光沢のある紫色や赤銅色が見られます。

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白い尾羽が見えます。

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シロエリコウはアフリカからインド、タイ、インドネシアに分布しています。和名はエンビコウとも言いますが、南米にはシロエンビコウというコウノトリの仲間がいるので紛らわしいです。

Ruddy Shelduck アカツクシガモ (インドの鳥その99)

今は寒い冬の季節。感染症対策の中で渡り鳥をなかなか見に行きづらい状況ですので、もう少しインドの冬の渡り鳥を続けます。

アカツクシガモ Ruddy Shelduck (Tadorna ferruginea)

ヒマラヤで繁殖し、インドには全国的に冬鳥として渡来します。北のラダック地方では夏に見たことがあります。

世界的には南東ヨーロッパと中央アジアの標高の高い湖沼で繁殖し南アジアで越冬します。日本では数少ない冬鳥として各地で記録されています。

ウッタラカンド州の貯水池でも冬に多くのアカツクシガモが越冬します。

穏やかな湖面でアカツクシガモのカップルがのんびり浮かんでいました。

嘴と脚と尾は黒く、体はオレンジ色、翼鏡は緑色。雄の繁殖羽では黒い首輪が付きます。

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左が雄、右が雌です。雌は雄よりも顔の白い部分が広がっています。

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こちらはやはり冬にウッタラカンド州西のコルベット国立公園の川にいたアカツクシガモです。まるまるっとした感じがかわいいカモです。

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Bar-headed Goose インドガン (インドの鳥その98)

冬、日本に渡来するガンを見るのは楽しいものです。インドを代表するガンはまさにこれ、インドガン Bar-headed Goose (Anser indicus) です。

昨日紹介したアカハシハジロと同じ貯水池にインドガンも越冬のためやってきます。

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大きさはマガンと同じかやや小さいくらいで、2本の黒帯がある白い頭が特徴です。体は全体に淡い灰色です。

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脚が黄色いのも特徴です。嘴も同じく黄色で先端に黒い点があります。かわいい目をしています。幼鳥は暗灰色の帽子をかぶったような頭をしています。

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インドガンは中央アジアの高い山の中の湖で繁殖し、越冬のためにインドやミャンマー北部にわたってきます。インドではパキスタン・中国国境近くのラダック地方で繁殖します。世界の屋根といわれるヒマラヤ山脈を越えて渡りをする鳥として有名ですね。空気の薄い高い空を自力で飛ぶわけですからものすごい心肺の持ち主です。

オランダなど一部ヨーロッパの国では野生化した個体群が定着しているそうです。

Red-crested Pochard アカハシハジロ (インドの鳥その97)

インド北部ウッタラカンド州の貯水池では、冬になるといろいろなカモたちがやってきます。ここで初めて見てうれしかったのが今回の鳥です。

アカハシハジロ Red-crested Pochard (Netta rufina)

50年ほど前の高校生の頃、福井県の三方五湖にアカハシハジロが渡来したニュースを聞いて以来とても会いたいカモでした。

他のカモに混じって真っ赤な嘴が鮮やかな雄が見えました。

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大きく丸いオレンジ色の頭、赤い嘴、黒い胸と尻が脇の白色と強いコントラストを示します。目は赤色です。

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オカヨシガモ Gadwall の雄とすれ違いました。アカハシハジロは全長53~57㎝で大型です。オカヨシガモよりも大きいです。

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こちらは雌です。茶色の頭と灰白色の頬、黒茶色の嘴の先はピンク色をしています。アカハシハジロはもっぱら潜水して餌を探します。

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アカハシハジロは、インドに広く分布します。ヨーロッパ南部で繁殖し、インドやモンゴル、中国で越冬します。

Common Iora ヒメコノハドリ (インドの鳥その96)

インドでとてもかわいい小鳥と思うのが今回の種です。

ヒメコノハドリ Common Iora (Aegisthina tiphia)

全長14㎝。スズメくらいの大きさの小鳥です。枝の絡み合ったようなところにいることが多いので、割と見ずらい鳥という印象です。

これは、インド北部ウッタラカンド州のラジャジ国立公園で出会った個体です。

藪の中でさえずっていました。口笛のような声を出し、いろいろなパターンでさえずります。嘴が細くまっすぐで先端がとがっています。

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インドでは北西部を除き全国的に分布しています。図鑑ではインドに3つの亜種が記載されています。これは頭から襟にかけてが黒色ではなく緑色をしているので、ヒマラヤの亜種のA.t.tiphia の雄のようです。翼は黒色で白い帯があります。尾羽は黒色です。雌の尾羽は緑色をしています。

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ヒメコノハドリは、世界的にはインドからタイ、ベトナム、インドネシアにかけての熱帯に分布しています。

Greater Spotted Eagle カラフトワシ (インドの鳥その95)

インド西部ラジャスタン州タールチャパールの保護区で会った鷲の群れです。

カラフトワシ Greater Spotted Eagle (Clanga clanga)

あまり高くない木の上で休んでいる6羽の鷲が見えます。

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暗色の虹彩、黄色い蝋膜と口角、口角は目の中心部あたりまでです。鼻孔(nostril)は丸く短めです。奥のはかわいい顔をしているので若い個体でしょうか。

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ここらは乾燥した土地ですが、付近には小さな池がいくつかあります。カラフトワシは水のそばを好むそうです。

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やはりこうした鷲は貫禄があります。

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カラフトワシはヨーロッパ東部からシベリア、中国東北部で繁殖し、インドには冬に越冬のため渡ってきます。日本では迷鳥として記録があります。

以前はAquila(イヌワシ属)に分類されていましたが、最近の分類ではClanga属にされているようです。カラフトワシ属とでもいうのでしょうか。こうした魅力的なワシにそれほどの困難を要せず出会えるのがインドの魅力です。