鳥さん天国 -Chronicles of bird paradise-

野鳥大好き人間が暮らしたインドとインドネシアで出会った鳥たちを紹介しています。

Southern Hill Myna ミナミキュウカンチョウ (南インドの鳥その13)

今回インドの鳥としてキュウカンチョウを載せようとして南インドで撮った写真を用意しました。手元の図鑑では南インドのキュウカンチョウは、インド東北部や東南アジアにもいるキュウカンチョウとは別の亜種とされ、種レベルでは同じとの認識だったのですが、IOCの世界の鳥チェックリストのVer10ではスプリットされていました。このため、キュウカンチョウとは別種として「南インドの鳥」のカテゴリーに入れてご紹介することにしました。和名についてはWikipediaで記述があった「ミナミキュウカンチョウ」をとりあえず採用しました。

ミナミキュウカンチョウ Southern Hill Myna (Gracula indica)

インドの南の半島部の西側とスリランカに分布しています。ちなみにキュウカンチョウ Common Hill Myna は東洋区に広く分布しています。インドでは北東部で見られましたが、写真を撮っていないので残念ながらこのブログには載せられません。

インド南部の西の海岸部に南北に細長く伸びるケララ州で見られたものです。

高木の上のほうでキュロキュロとキュウカンチョウの高い声がしたので見てみるとこの鳥がいました。キュウカンチョウよりやや小さく、嘴が細長く鋭いようです。

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ミナミキュウカンチョウは後ろから見るとこのように首筋の両側を黄色い襞が分かれて上に伸びているのが特徴です。翼の白い斑も目立ちます。

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こちらはその翌日に別の場所で見られた個体です。それほど少ない鳥ではないようです。黒と黄色、そして赤っぽい嘴がきれいです。

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Variable Wheatear カワリサバクヒタキ ( インドの鳥その94)

カワリサバクヒタキ Variable Wheatear (Oenanthe picata)は、「変わり」というその名のとおり、羽色の異なる亜種があります。

カワリサバクヒタキは、中東からインドにかけて分布しており3亜種があるとされています。インドでは冬鳥として主に西部の砂漠や乾燥した草地、岩場で3亜種全てが見られますので、それらをすべて紹介しましょう。

 

まず基亜種である、Oenanthe picata picataです。12月にラジャスタン州デザート国立公園の砂漠地帯で見られた雄です。

上面は光沢のある黒色、胸から下の面は真っ白です。

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尾の下面まで白色です。

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続いて、10月初めにデリー近郊のスルタンプール保護区付近の乾燥地で見られた Oenanthe picata opistholeuca の雌です。

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こちらは全身が真っ黒で、下尾筒から尾羽下面と腰が白色です。

こんな砦のような岩場がお好きなようです。

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3番目は、上のO.p.oと同じ日、やはりスルタンプール付近の乾燥した草原で見られた Oenanthe picata capistrata の雄です。

こちらは頭にかぶった白いベレー帽が特徴です。

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中央尾羽の黒色と尾羽両脇の白色、白い腰が見えます。道路工事が中断した跡に残されている構造物を獲物探しの見張台にしているようです。

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Common Babbler スジカブリヤブチメドリ (インドの鳥その93)

今回はインドでいろいろな種類が見られるチメドリの仲間です。いわゆるBabblerは全体が灰色っぽく体の色が一様なものがほとんどです。こちらもその一つ。

スジカブリヤブチメドリ Common Babbler (Turdoides caudata)

英名に比べて何とも奇妙な感じの和名です。頭に筋(縞)の多い被り物をかぶったチメドリという名前ですね。

全長は23㎝。チメドリとしてはそれほど大きくはありません。

上面は縦縞がたくさんあります。脇腹は褐色味があります。

顔つきの悪い種類の多いチメドリの中では、虹彩が暗色のためかかわいらしい顔に見えます。

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喉が白いのが特徴です。胸から腹にかけては単色で縞模様がありません。

ごちゃごちゃした藪にいるまさに藪チメドリです。

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スジカブリヤブチメドリはインド亜大陸に固有の種です。スリランカには分布していません。インドでは北東部や東部には見られませんが、それ以外にはほぼ全土に留鳥として見られます。ピューピューとにぎやかな声を出して動き回っている群れによく会います。

Blyth's Reed Warbler シベリアヨシキリ (インドの鳥その92)

今回はインドに冬鳥として訪れるヨシキリの仲間です。

シベリアヨシキリ Blyth's Reed Warbler (Acrocephalus dumetorum) です。

日本で見られるオオヨシキリと同じヨシキリ属の小鳥です。全長は13cmです。

ヨーロッパで繁殖し、インドに主に冬鳥として渡来します。インドの北部では旅鳥として通過し、南部で冬を越します。

1月のケララ州の藪で見たのがこの個体です。

ごそごそと藪の中を先行していました。

平たい感じの頭と目先に小さな過眼線が見えます。上面は全般に一様な緑がかった褐色です。嘴はやや長めに見えます。

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かわいそうに右目がつぶれていました。

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後ろから見ると頭から尾の先まで一様の色をしています。

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オオヨシキリとは異なり水辺よりは林縁部の藪を好むようです。

Wire-tailed Swallow ハリオツバメ (インドの鳥その91)

インドにはツバメの仲間もいろいろと見られます。中でもかっこいいのが今回のツバメです。

ハリオツバメ Wire-tailed Swallow (Hirundo smithii)  です。

その名のとおり、尾羽外側に針金のような長い羽が一対伸びています。

頭は栗色、上面は光沢のある青色をしています。

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全長約14㎝で、日本で見られるツバメより一回り小型です。

止まっている姿を前から見ると喉から下面にかけて明るい白色をしています。

この個体は尾羽のワイヤが1本欠けてました。

雌と幼鳥は短い尾羽をしています。

尾羽のワイヤが落ちてしまったり短く切れてしまっている個体もよく見かけます。

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ハリオツバメはアフリカからインド、インドシナにかけて分布しています。

インドでは北西部、北東部及び南東部を除いて広く見られます。

大部分で留鳥ですが、北のほうでは夏鳥で、冬には南に移動するようです。

Blue-cheeked Bee-eater ルリホオハチクイ (インドの鳥その90)

2021年2回目のインドの鳥はハチクイの仲間からです。

ルリホオハチクイ Blue-cheeked Bee-eater (Merops persicus) です。

インドの鳥カテゴリーでは、2014年9月20日その12のミドリハチクイ Green Bee-eater、2020年5月27日その59のハリオハチクイ Blue-tailed Bee-eaterに続いて3種目のハチクイです。

ルリホオハチクイは全長25センチほどでハリオハチクイと似た大きさ、全長17㎝ほどのミドリハチクイよりはかなり大きなハチクイです。

ルリホオハチクイの色合いはハリオハチクイと似ています。本種は尾羽の色が赤みがかった緑色、前頭部や過眼線周りに白っぽい色があること、のどの栗色の斑がちいさめであることなどがハリオハチクイとの違いのようです。

 

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インドでは西のほうで夏鳥として見られ、東のほうでは見られません。この個体は7月にウッタラカンド州の西部で見られたものです。

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ルリホオハチクイは、世界的には、アフリカから中東、パキスタン、インド西部に分布しています。

Black-necked Stork セイタカコウ (インドの鳥その89)

たいへんな年となった2020年から新たな年2021年が明けました。今年こそ世界が平穏であってほしいと切に思います。

インドの鳥新年の幕開けは昨年末に続いてコウノトリの仲間としたいと思います。

 セイタカコウ Black-necked Stork (Ephippiorhynchus asiaticus) を紹介します。

コウノトリらしい黒い大きな嘴です。沼地の傍にたたずんでいます。

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緑に光る首、白い体、黒みがかった濃い緑色をした翼。赤い脚。とても特徴のある配色でほかの鳥と間違えようがありません。

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成鳥のオスです。成鳥の雌は、目が黄色をしているところが雄と違っています。

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セイタカコウは、パキスタンからインド、東南アジアにかけてと、パプアニューギニアからオーストラリアにかけて見られます。アジアとオーストラリアの個体群とでは、亜種のレベルで異なっているそうです。以前オーストラリアではJabiru(ジャビル)と呼ばれていました。

インドでは、西部と中央部および南部に留鳥として見られ、いくつかの湿地でまとまった数が繁殖しているそうです。