鳥さん天国 -Chronicles of bird paradise-

野鳥大好き人間が暮らしたインドとインドネシアで出会った鳥たちを紹介しています。

Black-rumped Flameback ヒメコガネゲラ (インドの鳥その27)

インドはキツツキの種類が実に多く、図鑑では34種も載っています。

その中でもっとも広い地域に分布しているのが今回紹介するこのキツツキです。

ヒメコガネゲラ Black-rumped Flameback (Dinopium benghlalense)
初めて見たのは、デリーの日本食品店YAMATO-YAの向かいにあるDear Parkという公園でした。開店時間を知らず、店の開く1時間も前に来てしまい、この公園を歩いていて出会いました。

私の職場の森でもよく見かけます。
金色の背中を見てこんなにきれいなキツツキがいるインドはすごいと思いました。


冠の赤いのが後ろ半分で、前半分は黒色なのでメスのようです。


この個体は樹齢80年ほどの古い松の幹を一生懸命つついていました。


竹に穴をあけて作られた巣から顔を出している幼鳥です。額の部分に赤色が見られることからオスではないかと思います。嘴がまだ小さいですね。


ヒメコガネゲラは、ミャンマー西部にもみられるようですが、ほぼインド亜大陸の固有種と言っていいでしょう。

Dusky Eagle Owl ウスグロワシミミズク(インドの鳥その26)

前回紹介したウスユキガモに続いて「薄い色の鳥」を紹介します。
今回は、ウスグロワシミミズク Dusky Eagle Owl (Bubo coromandus)です。

この鳥を見たのは、前回のウスユキガモと同じ日です。ガイドのSanjayが、面白いフクロウがいると言って案内してくれました。

小さな川の両側に結構背の高いユーカリの並木があり、川を挟んで反対側の並木を一所懸命探しました。

するとわりとすらっとした感じの大型のフクロウ。全体が灰色っぽく、両方の耳羽がすっと立ってます。大きな黄色の目。


怪しいものを見るようにこちらを見ています。


表情がとても豊か。


人間のようなしぐさと表情です。


近くに巣があり、母鳥?と幼鳥が1羽見えました。
あまり刺激しない方がいいので、さっと写真を撮って去りました。


ウスグロワシミミズクはインドからインドシナにかけて分布します。インドでは中央部だけです。これを見たことで、インドに分布するワシミミズク(Bubo属)3種プラス1亜種すべてを見ることができました。このブログのインドの鳥でIndian Eagle Owl、南インドの鳥でSpot-bellied Eagle Owlを紹介しています。

この日は飛行機の出発時刻を気にしながらでしたが、ガイドのおかげで収穫の多い日となりました。

Marbled Teal ウスユキガモ(インドの鳥その25)

インドで鳥見をしていると、思いがけずインドでも珍鳥とされているのに出会うことがあります。

この日は、デリーに出て日本へ向かう夜の飛行機に乗るまで、デリー近郊で鳥見をしました。
デリーの西のバサイを訪れた後、いつもデリーでガイドを頼むSanjayが「友人が珍しい鳥を見つけたと言っているから行こう」と言いだし、近くの沼地へ行きました。
牛のふんがたくさん落ちているところで、足元を気にしながら水面をスコープで見ます。

ハシビロガモやオナガガモに混じって、オナガガモかヒドリガモのメスに似ている小さめのカモがいます。
でも距離があり、他のカモの陰に隠れて見づらいことこの上なし。
全体が灰色。頭が灰色で目の付近が黒っぽく頬のあたりが白っぽい。
ウスユキガモ Marbled Teal (Marmaronetta angustirostris)です。


体に牡丹雪のような白斑があります。


頭を水に突っ込んで採食しています。


ガイドも初めて見たようで興奮です。


手元のインドの図鑑によるとパキスタンで繁殖し、冬インド北部に飛来するとのこと。世界的希少種とされてます。
ヨーロッパの図鑑では、地中海沿岸に散在して見られるようで、主として中東あたりで見られるようです。

Bluethroat オガワコマドリ (インドの鳥その24)

オガワコマドリ Bluethroat (Luscinia svecica)は旧北区、東洋区に広く分布していますが、日本では珍鳥です。インドでは冬鳥として広く見られるほか、ヒマラヤ北西部の高地で繁殖します。

オスの喉は青とオレンジの模様がとてもきれい。


職場の森の裏の川原に冬にやってきます。
低木の藪の中をちょこちょこと動き回ります。


すっと上を向く姿は可愛いです。

Demoiselle Crane アネハヅル(インドの鳥その23)

鳥の飛行能力には目を見張るものがあります。
今回紹介するアネハヅル Demoiselle Crane (Anthropoides virgo)はヒマラヤ山脈の8000mを越えて渡りをするというものすごい高度を飛ぶことで知られています。

アネハヅルのような空気の薄い高空を飛ぶ鳥は、肺から入った空気の酸素がとても効率的に血液に取り込まれる仕組みができているそうです。


ヒマラヤ山脈の向こうの繁殖地から冬にはインドに渡ってきます。
ここはインド西北部のラジャスタン州です。
日中数百羽のアネハヅルの群が水の近くの開けたところにいるのが見られます。
ツルの中では小型です。このくらいの大きさ(小ささ?)が、ヒマラヤの強い上昇気流に乗るのにちょうどいいそうです。


とても上品な立ち姿です。

きれいな赤い色の目をしています。
目の後ろの白い羽毛も優雅。


幼鳥も交じっています。


ラジャスタン州のキーチャンという村はアネハヅルの越冬地として有名なところです。
夕方になると日中水辺や草原にいた群がどんどん戻ってきます。


村人がツルのために穀物を撒いてくれているので、一冬に2万羽ものツルが越冬すると言われています。


ただ、ツルより食べるのに困っている貧しい人に穀物を回すべきとの声や、ひとところにツルが集中しすぎることによる病気の蔓延を心配する声もあります。

いつまでも優雅なツルたちが安心して暮らせる環境を守っていきたいものです。

Red-whiskered Bulbul コウラウン (インドの鳥その22)

ヒヨドリの仲間は世界でアジアやアフリカに100種類以上おり、なかでもPycnonotus属は、50種類以上を数えます。

今回ご紹介するのは、アジアで広く見られ、そのかわいらし姿から人気の高いコウラウン Red-whiskered Bulbul (Pycnonotus jocosus)です。

私が最初にこの種に会ったのは、台湾でして、黒い冠と白い頬、目の後ろの真っ赤な羽がとても印象的でした。

インドでは、西部と中央部を除き広く分布しており、公園や畑でもよく見られます。


写真は、南インドのカルナタカ州でのものです。

ピロロとヒヨドリらしい声を出すのですぐにその存在がわかります。

目の後ろの赤い羽を広げています。


2羽でいる時にこのように目の後ろの赤い羽を広げるのは、つがいの間の求愛の儀式なのでしょうか。オスとメスの区別がつかないので、その意味合いがよくわかりません。

Indian Eagle Owl インドワシミミズク(インドの鳥その21)

ワシミミズクは旧北区に広く分布し北海道で繁殖する大きなミミズクです。インドで見られるのは、その亜種のインドワシミミズク Indian Eagle Owl (Bubo bubo bengalensis)です。

写真は、ヒマラヤのふもとの沼地で見た個体です。
水面をフワッと飛ぶ大きな影が見えました。

しばらく探してみると、沼の縁の藪にとまる大きな鳥。インドワシミミズクでした。


沼の小島には灰色の羽毛で包まれた丸々とした幼鳥が一羽。


こんなところで繁殖していたんですね。