鳥さん天国 -Chronicles of bird paradise-

野鳥大好き人間が暮らしたインドとインドネシアで出会った鳥たちを紹介しています。

Paddyfield Pipit ヒメマミジロタヒバリ (インドの鳥その108)

インドのタヒバリの仲間の続きです。

今回は、ヒメマミジロタヒバリ Paddyfield Pipit (Anthus rufulus)です。

全長15㎝、ビンズイと同じくらいの大きさの小型のタヒバリです。

インド北部ウッタラカンド州の首都デラドゥン市近郊の河原で見たヒメマミジロタヒバリです。眉斑が割と明瞭で細い嘴をしています。全体は灰色がかった褐色。背にはっきりとした暗色の縦斑があります。目先は割と明るい色をしています。

f:id:indoburung11:20210308103009j:plain

 

喉は白く、胸から脇にかけて淡い赤褐色が見られ、胸の縦斑が明瞭で腹の上面から下との境がはっきりとしています。

f:id:indoburung11:20210308103014j:plain

ヒメマミジロタヒバリは、インド、インドシナ、インドネシア、フィリピンにかけて分布し、インドでは、北西部の一部を除き広く留鳥として見られます。日本鳥類目録では記載が見られないので、日本での記録はないのかもしれません。

 

Olive-backed Pipit ビンズイ (インドの鳥その107)

インドではタヒバリの仲間が多く見られますが、どれも似たような見た目なので識別には苦労します。そんな、セキレイ科タヒバリ属の鳥を少し紹介していこうと思います。

まずは日本でもおなじみのビンズイ Olive-backed Pipit (Anthus hodgsoni)

ビンズイはアジア北部で繁殖し、インド、東南アジア、中国北部で越冬します。

インドではヒマラヤで繁殖し、北西部や南東部を除いた広い地域で冬鳥として見られます。日本では四国以北のわりと標高の高い地域で繁殖し、冬は標高の低い地域に移動します。

その名のとおり上面がオリーブ緑色で背に暗褐色の縦斑があります。淡色の明瞭な眉斑があり、目の後方に小さな白い斑と黒い斑があります。下面は白っぽく、胸と脇にはっきりとした黒の縦斑があります。

写真はインド北部ウッタラカンド州で11月に見られたビンズイです。全長が15㎝でこの仲間としては小さいほうです。針葉樹の先にとまっています。

f:id:indoburung11:20210304113829j:plain

 

こちらはウッタラカンド州東部で1月に見た個体。電線にとまって地上の餌を探しているのでしょうか。

f:id:indoburung11:20210304113839j:plain

 

こちらは11月に北東部の西ベンガル州でのもの。ホテルの芝生で餌を探していました。

f:id:indoburung11:20210304113850j:plain

 

ビンズイは、顔がかわいく、何となくすらっとした体つきをしているところが好きです。

Steppe Eagle ソウゲンワシ (インドの鳥その106)

インドで鳥を見ていると大型の鷲に出会うことが割に普通にあるような気がします。ハゲワシ類はもちろんですが、イヌワシの仲間も。

イヌワシ属で最も普通に見られるのが ソウゲンワシ Steppe Eagle (Aquila nipalensis) です。

大きな体を、不釣り合いに見えるような細い枝にのせて首を伸ばしています。黄色い口角が目の後部まではっきりと見られます。大きな嘴です。

f:id:indoburung11:20210225105908j:plain

 

こちらの写真は上とは違う場所です。遠くの大木にとまっているのは幼鳥のようです。翼の白帯が黒い羽とくっきりとしたコントラストを見せています。

f:id:indoburung11:20210225105926j:plain


上の幼鳥の近くにいた別の個体。

f:id:indoburung11:20210225110040j:plain

 

こちらは上空を旋回する幼鳥。翼の下面にはっきりとした淡色の帯があります。翼の後縁も淡色です。

f:id:indoburung11:20210225110002j:plain

 

こちらはまた別の場所。ヒマラヤスギの大木の上に座って鋭い目を斜面の下に向けています。風格が感じられます。

f:id:indoburung11:20210225110007j:plain

 

ソウゲンワシは、中国、モンゴルから黒海付近で繁殖。冬は中国南部、東南アジア、インド、アフリカに渡ります。インドでは冬鳥として、中部から北部にかけての広い地域で見られます。写真はすべてインド北部のウッタラカンド州で冬に撮影したものです。

 

Pallas's Gull オオズグロカモメ (インドの鳥その105)

インド北部ウッタラカンド州の貯水池では、冬になると越冬のためにやってくる鳥たちでとても賑やかになります。冬のある日、大きなカモメが水辺に佇んでいました。

オオズグロカモメ Pallas's Gull (Ichthyaetus ichthyaetus) です。

頭が黒い繁殖羽の成鳥です。目の周り後半が白く縁どられ、その顔を特徴的にしています。全長69㎝の大型のカモメです。近くにいるのは全長42㎝のチャガシラカモメ Brown-headed Gull です。大きさの差が歴然です。

f:id:indoburung11:20210222104955j:plain

 

オオズグロカモメは四角い頭をしていて、その頂は目の後ろでとんがっています。嘴と脚は黄色、嘴の先に黒い点と赤い輪があります。

f:id:indoburung11:20210222104959j:plain

 

オオズグロカモメは、ロシア南部とモンゴルで繁殖し、冬はヨーロッパ、地中海、アラビア半島、インド、中国の沿岸部に渡来します。日本ではごく少数が冬に九州で見られます。熊本県の球磨川河口でこの特徴的な姿を見たことをよく覚えています。

インドでは、この北部ウッタラカンド州でしか見ていないのですが、図鑑の分布図では、海岸部を中心にインド全体で見られているようなので、このブログでは、「インドの鳥」として紹介させていただきます。

Pied Avocet ソリハシセイタカシギ (インドの鳥その104)

今回は水辺の貴婦人ともいえる優雅な鳥を紹介します。

ソリハシセイタカシギ Pied Avocet (Recurvirostra avosetta) です。

インド西部ラジャスタン州タール・チャパール野生生物保護区の湿地に佇むソリハシセイタカシギ 大晦日の日でした。

真っ白な体と黒い頭や羽のコントラストが美しい。その名のとおり、細くて長い嘴は上に反っています。

f:id:indoburung11:20210218110353j:plain

 

こちらは10月の首都デリー近郊の湿地です。

ソリハシセイタカシギが水の中で餌を探しています。

f:id:indoburung11:20210218110400j:plain

 

浅い水辺で頭を横に振りながら細くて長い嘴を水中につけて、水の中の甲殻類や軟体動物などの小さな餌を探します。

f:id:indoburung11:20210218110403j:plain

 

ソリハシセイタカシギは、ヨーロッパやアジアの温帯、南アフリカに見られます。

インドで亜大陸ではパキスタンやインド西部の海岸に近いカッチ地方で繁殖します。冬鳥あるいは旅鳥として西部を中心に広く各地で見られます。

日本には稀な冬鳥または旅鳥として訪れます。

Ferruginous Duck メジロガモ (インドの鳥その103)

今回はメジロガモを紹介します。

メジロガモ Ferruginous Duck (Aythya nyroca) は、インドでは北のカシミールやラダックでは繁殖し、インド各地に冬鳥としてやってきます。世界的にはヨーロッパからカスピ海沿岸、中国西部にかけての地域で繁殖し、ヨーロッパ南部、アフリカ北部からインドやタイにかけての地域で越冬するとされています。

写真は、インド北部ウッタラカンド州の貯水池で冬に撮影したものです。

頭から胸が茶色っぽく、体は暗色、背は濃い色です。とんがり頭で目の白とおしりのところの三角形の白い部分がいかにもメジロガモです。黒い脚が水面から見えます。

f:id:indoburung11:20210208160751j:plain

 

オカヨシガモと並んでます。メジロガモは嘴が長めの灰色で、先端が鉤のように下を向いてます。開けた水面よりは葦のような草が水から多く出ているような沼が好きな印象です。

f:id:indoburung11:20210208160756j:plain

 

メジロガモのカップルが二組浮かんでます。雌の眼の色は暗色です。

f:id:indoburung11:20210208160802j:plain

 

日本では稀な冬鳥として主に西日本に渡来するようです。

Black-headed Ibis クロトキ (インドの鳥その102)

今回のインドの鳥はクロトキ Black-headed Ibis (Threskiornis melanocephalus) です。

インドからインドシナ、インドネシアに分布し、インドでは東部や北西部を除き全国的に留鳥として見られ、一部の地方では冬鳥として記録されています。

このように首から頭が真っ黒。大きく下に湾曲した嘴と顔の境もよくわかりません。

f:id:indoburung11:20210204150249j:plain

 

雨の中、ぶるぶると体を震わせています。体は真っ白です。皮膚が露出した頭が黒い頭巾をかぶったようです。脚も真っ黒です。腰のあたりの汚れた灰色の羽は長く伸びた三列風切りで繁殖期の成鳥に見られます。

f:id:indoburung11:20210204150253j:plain

 

クロトキというと全身真っ黒と想像してしまうのですが、このように白と黒のはっきりしたペリカン目トキ科の鳥です。日本では迷鳥として記録されています。